自分の時間ひとの時間、奇妙に交錯していく
ひと ひとの違いなんて言うものは端からないと思っている、そして多分本当に本質はなんも変わらない
でもひとの時間や自分の時間はやっぱり違くて、そのスピードや過ごし方呼吸動き纏っている時間がそれがひとひととの違い。気分、感情、発する音、振動する空気。
夜
急激な気分の落ち込み、その逆、秒単位で刻まれる気分は自分をことごとく無視する
昼間の高揚、でも絶望的な昼、暗い朝、見たくもない朝
生きている以上全くの孤独というのは成り立たない
自分の膜の中はものすごく居心地がよく、その膜を突かれるのが辛抱堪らない
それに触れてもいいひとはごく少なくそしてそういう人達に限って臆病なやさしさで触れようとしてこない。
纏っているものの繊細なのがわかると、私たちはまるで無人島に1人立っている気分になる
舟は作らないとない。
わたしたちは舟を作る作業を繰り返す、実際漕た舟などはなくどれも出来損ないだった、でもないよりましで そうして対岸の君たちはやはり優しさで浸水した舟に丸太を投げる
こちらにくるのはあなた次第で、その丸太はどう使っても構わない、大体の人が私にそう言った。
ひとりだけ、こわくて近づけなかったひとがいた。連絡も取っていない
その人はこちらを物陰からじっと見つめるだけで、日の光に当たることも怖がった。
木陰でじっとし、わたしが溺れていく姿さえ見なかった。
舟を作る途中、わたしたちは木材の交換をしあう。肌の白い木、焦がした木、名前のわからない木ばかりを潮に流して、それが流れ着いたかはお互い知る由もない。
わたしたちは時々離れた場所から交信を試みる。
巨大なマンションの廊下の灯った明かりが点灯するみたいに、テンテンテンテン。