舞った砂のいつまでも漂う煙たい粒が手の甲に小さな山を作った
わたしはそれまですこしも動かずじっと、手をかざしていた。
一度もつらいと思った事はなかった
深い場所にはいつも冷たい湖があって、更にその下には軽い、水を含んでいて、重たい砂がはるか寂しいところまで覆っている。
急な現実、目を覚ました左手はゆっくり首に。
指を立てる
空気のなか、目の中心の穴、ひとつ抜けた点
すこし息苦しい、吸った肺の中一致しない手と足
積もる灰を振り落さないよう鼻息さえ殺し真っ暗い深いところを守ってる
目の穴、ぽっかり空いた
穴
絶対に見つけられないから、その盲点を想像して
届かないのに見えるもの
そっと砂を積み上げた
静か、指で撫ぜた砂