左右

渡ってはいけない

夢の中で、何度も何度も通ってきた小中の廊下の混ざった景色が出てくることがある。その風景に入り込んでいる時は夢の中の実体と自分自身の意識がごく近い。(だからめちゃくちゃ不快感がある)そこの廊下はまるで迷路のようになっている、歩いても歩いても同じ所へ辿り着いてしまい、ぐるぐるぐるぐると繰り返す、焦り、走る自分を止めることは出来なくて、でもわたしは知っていた、このままこれを繰り返すと夢を見ている自分自身がものすごく息苦しくなることを。だめ、戻らなければと言っているうちに金縛りのような事になったり、大量の汗をかいて、その廊下の不快な残像に黒いため息を吐いて目覚める。

夢の中には決して渡ってはいけない廊下がある。薄暗くて、汚い理科実験室のある廊下、窓がひとつしかなくて、たしかあの階段を降りて似たような廊下をまた右に曲がりトイレの前を通り過ぎて左手の階段から降りると急に外階段へ繋がる。そこから先の世界はボロボロの汚い世界だったり、汚いトイレで用を足して目が覚めるなんてこともあった。外階段へでられればまだいいんだけど、そうならないことの方が多い。

新しくできた校舎へ急に出てしまい、下駄箱から左へ曲がり職員室、校長室を通り過ぎ、三年生と六年生のいる教室の前を歩いてトイレや自分の教室の前を歩くとあの最悪な廊下の前へ、出る。それでもわたしは歩き続ける事になる。止まるともっとろくでもない事になる予感が常にあるから、次のシーンさえ予測できるのにわたしはそこから抜け出すことができない。